ネットには企業と個人における環境の違いはなく、垣根もない。同じ環境下でWebサイトを構築でき、ホームページを利用する人も同様に区別することなく閲覧できる。そのため、検索サイトにおいては企業・個人サイトの各ページが検索ワードの結果順位に従って、区別することなく表示される。ブログやコミュニティサイトの登場で個人サイトが増え、個人が情報発信し、情報を更新・追加する頻度や情報量は企業サイトを上回るようになってきた。いつでも、どこでも、気軽にかつ自由に個人が情報発信できるネット環境は、いつしか企業サイトに大きな影響を与えるようになった。
企業が市場に投入する商品やサービスについて、ネットの口コミ掲示板では販売前、販売時、販売後の様々な内容が書き込まれるようになってきた。そして、企業の広告や販促によって自分の判断や評価を見失うことなく、正しく賢い購入をしたいという願望が、ネットでの情報収集を促進している。既に購入した人は、その商品の感想を書き込み、新たに購入する人は既購入者の書き込みを読み、逆に既購入者に質問をする。そのため、価格比較系サイトやネットの口コミ掲示板、あるいは教えて系サイトにおいては様々な情報が飛び交い蓄積されるようになってきた。
新たな商品やサービスが市場に出ると、その前にマスメディアやネットにおいて、様々なニュース記事が発信される。それに対し、その特定の分野に詳しい人やネット上で発信する個人のブロガー(ブログを書く人)が、イノベーターとして自分の考えや感想を組み込んで発信する。単なるニュース記事だけではなく、企業が報道向けに発信するニュースリリースやプレスリリースも、ブロガーの題材となる。
“あの人が書く内容は早くて正しい”とか、“あのブロガーは信頼できる!”とネット利用者から高く評価されているブロガーは増大している。そのWebサイトが匿名であっても、カリスマブロガー、あるいはアルファブロガーと言われる、そうした個人サイトのページビュー数は一般企業よりもはるかに多い。つまり、購入意思決定プロセスに大きな影響を与えているのである。
一方、こうした個人ブロガーの影響力に目をつけて事業化されたのが、CGM(Consumer Generated Media)の範疇に入るブロガー広告である。企業の依頼によって、商品に関する情報(商品説明資料やサンプル、商品画像)を渡し、ブロガーに書いてもらうもので、一件あたりのブログの書き込みによって、広告料がブロガーに支払われている。ブロガーが書き込む内容よりも、ブロガーが紹介するために書き込むURLの数が大きな影響を与えており、被リンク数が増え、検索エンジンへの最適化に大きなメリットがあるようだ。ある企業がブロガー広告を実施した結果、販売したい商品のWebページが、主要検索サイトにおいて上位に表示されたとしている。
ネット活用においてはB to C企業だけではなく、B to B企業においても個人の発信パワーを活用する時代に来ている。会社では法人の立場であっても、自宅では個人利用の立場に戻る。自宅に帰ったからといって、ビジネスサイトは一切見ないわけではない。逆に会社ではサイト閲覧の規制が厳しい大手企業も少なくないからだ。個人や個人サイトから注目される企業サイトや商品サイトを目指して頂きたいと思う次第である。